ここ3年ほどで一番被害が多いとおもわれるヤミ金被害の手口です。手口の発端が違法金融業者だったのか、商品取り込み詐欺グループなのか詳しくはわかりませんが、徐々に増えてきて今でも無料相談に寄せられる被害相談の約半数を占めております。
相手の話法がほぼ同じで違法グループ内にマニュアルが存在しているのではないかと疑われております。それだけにどの業者も同じような発言を繰り返しているので被害に遭う前に詐欺と気づくことができます。
ここではどうやって見抜くかについて説明をしてまいります。
【1】ホームページ上に携帯電話に関する記述
キャッシング会社であるにもかかわらずサイト上に赤文字や太字という目に留まりやすい表現で携帯電話に関する記述があるホームページには注意を払うことが大切です。例を出します、下記の画像をご覧ください。
申し込みを誘導するための表現がそこかしこに見受けられますがそれよりも目立つように赤い文字+太文字でこのような記述が確認出来ます。
「携帯の支払い延滞が2カ月以上ある方」
貸付条件を決める際に携帯電話の未払いや延滞を調べる必要があることを否定はしません。しかしながら携帯電話料金の未払い履歴はヤミ金業者が好んで使う信用情報会社の記録に載る情報です。従って、調べようと思ったら与信の段階で信用情報としてわかることなのです。
ではホームページ上に記載している意図はなんでしょうか?
それは彼らが広告費を無駄にしたくないためだと思われます。
ホームページ上でNGユーザーを書くことで携帯電話を新規購入出来ないユーザーの申し込みを防いでいると考えられます。高い広告費用を支払っても携帯電話を新規購入出来ないければ1円にもなりません。かけた広告費は無駄になります。それを嫌ってのことであると思われるのです。業者のそのような性質を逆手にとり見極めのポイントにすることで被害を未然に防ぐことができるので頭の片隅に記憶してください。
そしてこの文章があることで彼らが金融の信用情報を閲覧する環境が無いことがわかります。前述しましたが携帯電話の未払い履歴は金融情報として信用機関にスコアされます。従ってユーザーに訊かなくともわかる情報なのです。
自分たちで調べることができる情報を不確定性のあるホームページ上で記載する必要は無いのです。
【2】CICや信用情報会社の話をする
申し込みをした後でもヤミ金を判断するいくつかのポイントがありますので相手のペースに巻き込まれないようにしましょう。
審査依頼をすると折り返し電話が掛かってきて融資に関する説明が入ります。そこにひっかけがありますので気を付けて相手の発言を拾うことが重要です。見出しにも書きましたが、ヤミ金業者は話しに信憑性を持たせるため専門用語もしくは業界の人間が使うような言葉を使います。
「信用情報の記録を取りましたが残念ながらブラックになっておりましたのでこのままでは融資出来ないです」
「信用情報には融資NGと書かれているのでどこの消費者金融も貸付が出来なくなってます」
異口同音だと思いますのでこのような発言が出た時点で合法的なキャッシング会社ではない可能性を考えて行動にうつしてください。一般的な金融会社が審査の内情を明かすことはありません。
確かにCICや全銀協、JICCといった金融情報を集めているデータバンク企業は存在します。ご自身の情報を照会することもできます。その内容は金融機関が閲覧しているのと同じ情報です。しかし、キャッシング会社が与信という言葉を使ったとしてもどこに与信をかけたのかといったことは公然の秘密であり明かすことは無いのです。
またこうしたデータバンクはあくまでも必要情報の開示までであり会社自体がブラックとか貸付NGなどという評価まですることはありません。それを決めるのは金融各社なのです。相手から、信用情報についての話が出たら気を付けてください。
そして信用情報についてもう少し知識を蓄えるのであれば、データはあくまでもそれまでの過去の履歴ですから何かをすれば信用が回復するようなことはありません。そして携帯電話を買えば信用情報が上書きされるといったこともありません。データはカレンダーのように月ごとに区切られていて上書きをするとか信用が数字で表現されるといったことでは無いのです。
この事を知っていれば別の表現を使ったヤミ金と遭遇しても相手のウソを見破ることが出来ます。
【3】携帯電話詐欺のおそろしさ
それまでのヤミ金というのは高利貸しと呼ばれる日本の法律を超えた金利で貸付をすることの総称ですがここ10年ほどの間に全く異なったヤミ金グループが台頭してきました、それが携帯電話購入詐欺です。それまでのヤミ金と何が異なるのでしょうか?
・ヤミ金ではなく詐欺である
基本的なことですが大事なことです。携帯電話購入詐欺はキャッシングサイトを作りお金に困っている人を集め、融資をするかのように説明しつつも実態は他人名義の携帯電話をだまし取ることが目的です。
彼らは貸したお金よりも多くのお金を回収するといった従来の金融業と全く異なり、携帯電話を転売することで利益を得ています。高く買い取りをしてくれるアイフォンやアイパッドなどを言葉巧みに購入させ指定した場所に届けさせ、その日のうちに闇の買取業者などに転売をしてしまいます。
ホームページで言っていることは「融資」「借入」というお金を都合するかのような発言ですが、その裏に隠されているのは商品のだまし取りなのです。これは昔からある商品取り込み詐欺と同じ手法なのです。
お金を貸しても無い方から取れませんから取りはぐれる危険性があります。しかし携帯電話というリセール価格の高い商品をだまし取るという行為は商品さえ安く手に入れてしまえば決められた金額が確実に手元に入るため高利貸をするよりもリスクが低いのです。この詐欺が横行した背景がわかります。
・携帯電話会社との契約違反になるおそれ
この詐欺のもっとも厄介なことは電話の名義人が被害者自身であり携帯電話会社との契約が成立している点にあります。携帯ショップに出向いて商品を購入しているのはまぎれもなく本人で厳しい本人確認もクリアしているため契約は成立してしまいます。
そして携帯電話会社は販売した電話の利用を本人に限っており、転売や譲渡を認めておりません。携帯電話購入詐欺はこの利用規約に違反します。携帯電話会社からみれば犯罪グループに携帯電話を渡してしまった行為は名義人が自社から端末をだまし取ったと判断します。対象者はヤミ金業者ではなく携帯電話買った購入者に向けられます。
詐欺グループの転売先が犯罪グループであったり、さらに転売した先が違法行為を行えばその際に使われた携帯電話の端末を特定することは可能です。携帯端末とSIMカードはどちらも独自で通信を行うことが可能ですから携帯電話会社からすると犯罪に使われた携帯電話の名義が誰なのかを知ることは可能なのです。
ヤミ金被害に遭うだけでなく、被害者名義の端末が違法行為に利用されれば名義人が責任を問われることもあり得ます。警察に被害相談をしたところ警察から被害者では無く、自身にも責任が及ぶと指摘されたという相談者さんがたくさんいるのが事実です。
このように携帯電話購入詐欺は端末の負債という金銭的な被害をこうむるだけではなく、騙された被害者が犯罪に協力した疑いで責任を問われかねない側面を持つ大変に危険な詐欺なのです。
詐欺被害に遭ってしまった場合はしっかりと被害対策を行わなければ思いもよらぬ事態に発展してしまう可能性がかることをしっかりとご認識ください。